交通事故 交通事故基礎知識 過失割合
2021.01.23 2022.11.15

自転車と車の交通事故を起こした場合の過失割合を知りたい

自転車と車の交通事故を起こした場合の過失割合を知りたい

交通事故における過失割合とは、発生した交通事故に対して、双方の責任割合です。

基本的には、当事者らが契約する保険会社が、過去の裁判例の中から、実際の事故に類似をした裁判例を基準として、実際の事故態様に応じて過失割合を修正して決めていきます。

自動車同士の交通事故の場合、双方に同程度の不注意があれば、過失割合も同程度になることが一般的です。

一方で、自転車と自動車の交通事故の場合、自転車の方が、自動車に比べると『弱い立場』と考えられることから、過失割合が修正されます。

つまり、自転車の過失割合が、低くなることが多いということです。

ここでは、自転車と自動車が交通事故を起こした場合に、どのように過失割合が決まるのか、考え方等をご説明します。

自転車と車が交通事故を起こした場合の過失割合

過失割合の基本的な考え方

自転車が当事者となる事故(たとえば、自転車と自動車が接触する事故等)は、自転車事故といい、自動車同士の事故との過失割合の考え方と異なります。

どのような点が異なるか申し上げると、自動車同士の事故の場合は、双方の立場は、どちらが強い、弱いもなく、同等と考えられ、事故を回避するための能力についても、両者が同程度であると考えられます。

しかし、自転車事故の場合は、自動車の立場が強いと考えられ、自動車の過失割合が大きくなると考えられます。

これには、以下の理由が上げられます。

①車体が自動車よりも小さい

②速度が自動車よりも遅い

③運転手の身体はむき出しになっており、事故に遭った場合にダメージが大きい。

④事故を回避する能力が自動車よりも低い

これらの理由から、自転車は自動車よりも「弱い立場」であると考えられ、自転車対自動車の自転車事故において、たとえ、双方で同じ行動をとっていたとしても、基本的には、自転車の過失割合が小さく、自動車の過失が大きくなります。

 

相手がバイクの場合

では、自転車対バイクの場合、過失割合はどうなるのでしょうか?

結論から申し上げますと、バイクは四輪車と同じ扱いであり、自転車の過失割合が小さくなります。

四輪車とバイクが衝突事故を起こした場合、バイクの方が弱い立場となりますので、基本的にはバイクの方が自動車に比べ、過失割合は小さくなります。

しかし、自転車対自動車と、自転車対バイクの場合は同じ過失割合の基準が適用されることになります。

相手が自動車ではなく、バイクだったために、自転車の過失割合が上がるということは基本的にありません。

状況次第で変わる自転車と車の過失割合

事故のタイプ別過失割合

では、自転車対自動車(四輪車、バイク)の過失割合を、事案別にみていきましょう。

・信号機のある交差点にて、直進同士の出会い頭の交通事故の場合

信号機の色(自転車:自動車) 過失割合(自転車:自動車)%
青:赤 0:100
赤:青 80:20
黄:赤 10:90
赤:黄 60:40
赤:赤 30:70

 

・信号機のない交差点にて、直進同士の出会い頭の交通事故の場合

道路状況 過失割合(自転車:自動車)%
同幅員の交差点 20:80
自転車が広路、自動車が狭路 10:90
自転車が狭路、自転車が広路 30:70
自動車側に一時停止義務あり 10:90
自転車側の一時停止義務あり 40:60
自動車が優先道路を走行 50:50
自転車が優先道路を走行 10:90
自動車が一方通行違反 10:90
自転車が一方通行違反 50:50

 

・信号機のある交差点にて、自転車が直進をし、自動車が右折した場合

信号機の色(自転車:自動車) 過失割合(自転車:自動車)%
青:青 10:90
黄:青で進入→途中で黄に変わり右折 40:60
黄:黄 20:80
赤:赤 30:70
赤:黄で進入→途中で赤に変わり

右折

50:50
赤:青で進入→途中で赤に変わり右折 70:30
赤:右折の青矢印信号 80:20

 

・信号機のある交差点にて、自転車が右折をし、自動車が直進した場合

信号機の色(自転車:自動車) 過失割合(自転車:自動車)%
青:青 50:50
青で進入→途中で黄に変わり右折:黄 20:80
黄:黄 40:60
赤:赤 30:70

 

・信号機のない交差点にて、一方が直進をし、一方が右折をした場合

事故状況 過失割合(自転車:自動車)%
自転車が直進、自動車が右折 10:90
自転車が右折、自動車が直進 50:50

 

以上の表を見ていただくとわかるように、自転車と自動車は、同条件であっても、自転車の方が、過失割合が小さくなります。

たとえば、信号機のある交差点において、自動車同士の事故で、双方ともに赤信号の状況で、交差点に進入し、出会い頭の交通事故が起きた場合は、50%:50%で基本の過失は判断されます。

しかし、片方が自転車だった場合、同じ事故状況であっても、自転車側が30%、自動車側が70%の過失割合となります。

 

自転車の方が過失割合が高くなるケース

基本的に対自動車との交通事故においては、自転車側の過失は低くなりますが、例外もあります。

それは、自転車側が「信号無視」をしていた場合です。

自転車側が赤信号で交差点に進入し、対自動車相手に事故が起きた場合、過失割合は80%となります。

なお、信号無視は「赤信号」に限ったことではありません。

「黄信号」は原則停止とされているので、黄信号で交差点に進入した場合は、過失割合は比較的に高くなる傾向があります。

他にも、自転車側が一時停止義務違反をしていた場合、一方通行違反をしていた場合も比較的に高い過失割合をとられることになります。

つまり、自転車側が何らかの道路交通法違反を行ったことにより発生した事故においては、過失割合は大きくなるということです。

自転車は弱い立場ではありますが、軽車両扱いです。

交通ルールを意識し、安全運転を心がけて運転をすることが非常に大切です。

過失割合の修正要素

冒頭でご説明をさせていただきましたように、交通事故における過失割合は、過去の裁判例から、実際に起きた事故に近い判例を探しだして基本割合を決めていきます。

その後、実際に起きた事故の個別の事情を考慮し、過失割合を修正していきます。これを「修正要素」といいます。

 

自転車の過失割合が大きくなるケースとしては、この「修正要素」が影響する場合もあります。

 

加算要素

自転車側の過失が大きくなる「加算要素」には以下のものがあります。

 

加算要素  
夜間に発生した事故 夜間の場合、自動車はヘッドライトを点灯するため、自転車から自動車を発見することは容易ですが、自動車から自転車を発見することは困難であるため、過失は大きくなります。
酒気帯び運転 法律の規定する以上の飲酒をし、酩酊状態ではないものの、酒気帯び運転と判断された場合です。
酒酔い運転 酩酊状態で運転をしていた場合です。危険度が非常に高いため、「重過失」と判断され、過失割合が大きくなります。
無灯火運転 明かりをつけずに自転車を運転した場合です。
2人乗り 2人乗りは危険行為であるため、過失割合は、大きくなります。
並進運転 2台以上の自転車が並走している場合、事故の危険性が上がると考えられ、過失は大きくなります。
傘さし運転 片方の手が傘でふさがり、片手での運転となるため、危険と判断され、過失が大きくなります。
スマートフォンや携帯電話の操作をしながらの運転 スマートフォン、携帯電話の操作をすると片手運転となり、また、画面に注視することで、前方不注意となると考えられ、過失が大きくなります。
ブレーキが壊れている自転車での走行 ブレーキが壊れた自転車に乗ることは、非常に危険な行為であり、重過失として過失割合は大きく上がります。

 

減算要素

自転車側の過失が小さくなる「減算要素」には以下のものがあります。

 

減算要素  
運転者が児童や高齢者 免許制度がない自転車の場合、児童や高齢者が運転していることもあり、立場が弱いものとして過失が小さくなります。
自転車が自転車横断帯を通行 道路交通法上、自転車横断帯を走行する自転車は強く保護されています。
自転車が横断歩道を通行 自転車横断帯が付近になく、横断歩道上を自転車が走行し、事故が発生した場合は、過失は小さくなります。
自動車が速度違反 自動車側が、時速15㎞以上の速度違反は著しい過失、時速30㎞以上の速度違反は重過失と判断され、自動車の過失割合が大きくなり、必然的に自転車の過失割合が小さくなります。
自動車側の著しい過失 自動車側に、前方不注意やスマートフォンや携帯電話の操作等のながら運転、また酒気帯び運転があった場合は著しい過失として、自動車の過失が大きくなり、自転車側の過失は小さくなります。
自動車側の重過失 自動車側が、無免許運転や酒酔い運転等の重過失があった場合は、自動車の過失が大きくなり、自転車側の過失は小さくなります。

 

減算要素の中で、1つ自転車側が注意をしなければならないのが、横断歩道の走行です。

上記にあるように、自転車横断帯が付近になければ、横断歩道を自転車が走行し事故に遭った場合、自転車側の過失は小さくなります。

しかし、自転車横断帯があるにも関わらず、横断歩道上を走行している場合は、過失割合は下がることはありません。

過失割合に納得できない場合

過失割合は、当事者の双方が契約する任意の保険会社同士が話し合いで決めていきます。

しかし、自転車事故の場合、被害者の方が保険会社に加入していないことも多く、また加入をしていたとしても、示談交渉サービスがついておらず、被害者の方自身で、加害者側の保険会社と過失割合を含む示談交渉をしていかなければなりません。

この場合、交通事故問題のプロである相手の保険会社から、過失割合が提示されることになりますが、被害者の方は納得ができず、揉めてしまうことは珍しくありません。

何故、争点となってしまうかというと以下の理由が上げられます。

①自転車側の被害者心理

「自転車側は弱い立場である」という考えがあることから、相手が提示してきた過失割合が思っている以上に自身に不利である場合、「自分は悪くないのに何故?」と思ってしまいます。

②虚偽を述べている可能性

加害者側が事故態様について虚偽の報告を警察や保険会社にしている可能性があります。

これは、過失割合が大きければ大きいほど、加害者は刑事処罰が重くなる可能性が上がるため、自分に有利になるよう警察に証言することがあります。

保険会社は、契約者の言い分を基に過失割合を決めていきますので、被害者側には納得のいかない割合になることがあります。

③保険会社は営利企業

過失割合が加害者側に大きければ、その分保険会社は被害者の方に支払わなければならなくなります。

そのため、保険会社にとっても過失割合は、加害者側が小さく、被害者側が大きい方が都合がよいです。

基本的に、交通事故の過失割合について、一般の方々は適正な数値は知りません。たとえば、加害者側の保険会社から「この過失割合が適正です」と言われたとき、納得がいなかなくても、反論する術を持たず、しぶしぶ受け入れることが多いです。

そのため、保険会社が被害者の方に高めの過失割合を提示することも多いです。

その結果、被害者の方は、自身の過失が大きいことに納得ができず、争点となりやすくなります。

では、被害者の方が過失割合に納得ができない場合、どうすればいいのでしょうか?

それは、交通事故問題に詳しい弁護士に相談をすることです。

弁護士であれば、事故態様から、保険会社が提示する過失割合は適正なのか否か、もっと被害者の方に有利となる過去の裁判例を探し、交渉を行ってくれます。

また、加害者側が虚偽の発言をしている場合は、警察が作成した実況見分調書を取り寄せて、正確な事故の状況を把握し、保険会社へ適正な過失割合をもって交渉をすることも可能となります。

自転車事故の過失割合についてのご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

自転車と自動車の交通事故における過失割合について、ご説明をさせていただきました。

過失割合について、納得がいかない場合は、必ず弁護士に相談をしましょう。

自転車対自動車の場合、必要以上に被害者側の過失を高く言われている可能性もあります。

過失割合は、被害者の方が受け取る損害賠償金に影響します。

被害者の方の過失割合が高くなってしまうと、損害賠償金はその分、減額されてしまいます。

一方で、弁護士に相談をし、被害者の方の過失割合が低くなれば、損害賠償金が大きく増額する可能性があります。

自転車事故の過失割合にてお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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